- 竹槍
一会社員目線の
更新日:2021年5月7日
中抜きや多重下請けが日本の生産性を下げている!
みたいな論旨の経済ニュースを最近よく見かける。
また、これ自体はウン十年前からある議論なんだろうなあ
ということも想像がつく。
けれども2次やそれ以下の商流で請けることがざらにある会社で働いていると、
いや中抜き自体はそんなに悪い構造じゃないぞ?
というのが実感だ。
商社はエンドユーザーとメーカーの間で緩衝地帯になってくれるし、
金銭的なリスクを請け負ってくれる。
中抜きする額…はコンプライアンス上はっきりとは見えないが、
人づてに聞いたことや
懇意な商社の営業マン一人が抱えてる案件数
とかから推測するに、[竹槍]の周辺の商社ではおそらく1-2割で、
働きから考えれば妥当か少し安いくらいだと思う。
そもそも仕事を横流しするだけで何割もハネ前を持っていくような商社は
エンドユーザーにも開発会社にも疎まれるし、実際それで
「次からはあの会社を抜きにして直接お取引しましょう」
となったこともあった。
だから、市場には
そんな商社がいつまでものさばっていられない程度の自浄作用はあるのだと思う。
このあたり業界によってだいぶ違うんだろうか?
商社に緩衝地帯の役割を期待するのは百歩譲ってメーカー側の怠慢だとしても、
金銭的リスクはどうしようもない。
だって例えば資本金300万の会社に1000万超える規模の案件なんか
直には出せんだろう。
間に大きな資本金を持つ会社が入って、
何か損害が出たときに無い袖は振れない状態にならないこと
が保証されて初めて発注できるはずだ。
それでも中抜きはムダだ!と主張したいのであれば、
メーカーは開発力なんか二の次三の次にして、
大きな案件を直に請け負えるだけの資本金なり経営体力をつけること
がまずマストになってくる。
なんか有名な経済人で(名前忘れた)
(↑思い出した!アトキンソンさんだ!2020.12.5追記)
日本の生産性が低いのは中小企業だらけだからだ!大企業化を進めるべき!
と主張している外人さんが居たが、彼の主張はこの意味でも正しいと思う。
確かに中小企業が合体して商社抜きで大きな案件を請け負えるだけの体力を付ければ
少なくとも中抜きされてるぶんの生産性は確実に上がるからだ。
けども学生時代から、一応国公立の四大だけども、
それでも[竹槍]の周辺で大企業を指向している人などいなかったし、自身もまたそうだ。
世代のせいか地域柄か、おそらく下に挙げるような悪いイメージを、
自身も含めてみんな持っているのだと思う。
毎朝渋滞に巻き込まれて時間を無駄にし、
ちょっと出勤時間をずらすだけでも何やるにも一々手続きが必要で、
一人が何人もを評価するから能力に対する正当な評価などもらえず、
真面目な働き者は怠けるヤツや使えないヤツのケツを拭き続けて過ごす羽目になる。
そしてマンパワーがあるのなら一工程ずつを分担したほうが
効率が上がるに決まっているから、もちろんそのような動き方を求められるが、
そうして年数を過ごしてきた人間はいざ会社の外に出たら全然つぶしがきかない。
給料は多少いいが人生を会社に捧げる覚悟がなければ務まらない勤め方だ。
対して今務めてるような零細企業なら
社長さんや役員さんと腹を割って話ができるから、
業績をしっかり上げて信用を築けば
何年もかけて自分の思う形に誘導していくことができる。
こうして技術者たち一人ひとりの意向が強く作用した結果、[竹槍]の居る会社は
服装も髪の色も出退勤の時間も自由で最先端の人事評価制度を導入し、
社外でもつぶしの利く技術者を擁し、社員の独立を歓迎しているという、
超先進的な零細企業になった。
成果主義が過ぎて先鋭化の嫌いはあるけれども、
怠け者や、成果を出さない方向の努力ばかり強要する者などに対する
強い浄化作用を持つようになった。
大企業化の潮流がもし来るなら、
大企業なんかクソ食らえと思っている中途半端な不適合者
[竹槍]も含めて世の中にはかなり大勢隠れているはずなので
これらの上手い扱い方も、えらいひとには考えてほしいものですな…
中抜きをやめろというのは、遠回しにこれらの層に路頭に迷えと言うことだ。
そんなわけで誰が何と言おうと
中抜きが発生する産業構造自体はぜんぜん悪くない、
っていう立場を取らないと[竹槍]もそのうち路頭に迷う。
問題は構造自体じゃなくて、ハネすぎと噛ましすぎであって
結局は程度の問題と考えるのが妥当ではなかろうか。