- 竹槍
一会社員目線の
最終更新: 2020年12月4日
中抜きや多重下請けが日本の生産性を下げている!
みたいな論旨の経済ニュースを最近よく見かける。
また、これ自体はウン十年前からある議論なんだろうなあ
ということも想像がつく。
けれども2次やそれ以下の商流で請けることがざらにある会社で働いていると、
いや中抜き自体はそんなに悪い構造じゃないぞ?
というのが実感だ。
商社はエンドユーザーとメーカーの間で緩衝地帯になってくれるし、
金銭的なリスクを請け負ってくれる。
中抜きする額…はコンプライアンス上はっきりとは見えないが、
人づてに聞いたことや
懇意な商社の営業マン一人が抱えてる案件数
とかから推測するに、[竹槍]の周辺の商社ではおそらく1-2割で、
働きから考えれば妥当か少し安いくらいだと思う。
そもそも仕事を横流しするだけで何割もハネ前を持っていくような商社は
エンドユーザーにも開発会社にも疎まれるし、実際それで
「次からはあの会社を抜きにして直接お取引しましょう」
となったこともあった。
だから、市場には
そんな商社がいつまでものさばっていられない程度の自浄作用はあるのだと思う。
このあたり業界によってだいぶ違うんだろうか?
商社に緩衝地帯の役割を期待するのは百歩譲ってメーカー側の怠慢だとしても、
金銭的リスクはどうしようもない。
だって例えば資本金300万の会社に1000万超える規模の案件なんか
直には出せんだろう。
間に大きな資本金を持つ会社が入って、
何か損害が出たときに無い袖は振れない状態にならないこと
が保証されて初めて発注できるはずだ。
それでも中抜きはムダだ!と主張したいのであれば、
メーカーは開発力なんか二の次三の次にして、
大きな案件を直に請け負えるだけの資本金なり経営体力をつけること
がまずマストになってくる。
なんか有名な経済人で(名前忘れた)
(↑思い出した!アトキンソンさんだ!2020.12.5追記)
日本の生産性が低いのは中小企業だらけだからだ!大企業化を進めるべき!
と主張している外人さんが居たが、彼の主張はこの意味でも正しいと思う。
確かに中小企業が合体して商社抜きで大きな案件を請け負えるだけの体力を付ければ
少なくとも中抜きされてるぶんの生産性は確実に上がるからだ。
けども[竹槍]は今務めてる零細企業の雰囲気がとても好きでな。
どんな雰囲気かというと、
社長さんや役員さんと距離が近いから「先輩」くらいの感覚で腹を割って話ができて
だから業績あげて筋の通った主張をしてればちゃんと聞いてもらえて
だから成果主義が通って必要以上に縛られなくて
昼に出勤しても髪の色が派手でも部屋の中で常に素足でいても許されて
一人ひとり全員が真面目な職能者で、
要らない社員なんか一人も居ないって思える環境なんだ。
そしてこれらは大企業では有り得ないことばかりで、
大企業化が宿命である!
とか言われたら[竹槍]はいよいよ引きこもりになるかも。
そんな潮流がもし来るなら、
中途半端に業績を上げる中途半端な不適合者
[竹槍]も含めて世の中にはかなり大勢隠れているはずなので
大企業におけるこれらの上手い扱い方も、えらいひとには考えてほしいものですな…
そう
物凄く業績を上げる物凄い不適合者
か又は
生存すら危ぶまれて業績どころの騒ぎではない物凄い不適合者
これらは目立つから何らかの対策が打たれやすいが、
そこと適合者との境目くらいに
「環境を間違えると後者になりかねないけど
ちょっとのインセンティブがあればかなりの業績を上げて働ける」
っていう層が居て、これらは目立たないけど
おそらく中小零細企業でやっと生存している層で、相当厚いと思うんだ。
中抜きをやめろというのは、遠回しにこれらの層に路頭に迷えと言うことだ。
そんなわけで誰が何と言おうと
中抜きが発生する産業構造自体はぜんぜん悪くない、
っていう立場を取らないと[竹槍]もそのうち路頭に迷う。
問題は構造自体じゃなくて、ハネすぎと噛ましすぎであって
結局は程度の問題と考えるのが妥当ではなかろうか。