- 竹槍
公開買い付け ②
最終更新: 2月21日
これで改めて東証の監理銘柄の指定についてのPDFを眺めてみると、
(1)公開買い付けが成立し、公開買い付け者が同社の議決権の10分の9を保有するに至った場合には、公開買い付け者は株式等売渡請求を行う旨である
とあるから、
あとは「株式等売渡請求」がわかれば
この(1)の場合の言わんとすることはだいたいわかりそうだ。
株式等売渡請求は、2014年に会社法改正に依って制定された制度で、
9割以上の株式を持っていれば
その他の少数株主の意思に関わらず、
残りの株式を強制的に買い上げることができる
というものだ。
この、9割以上保有している株主のことを特別支配株主と呼ぶ。
少数株主側にも、売渡請求をやめるよう請求したり、
価格が不当に安いと感じたときは裁判所に価格決定を申し立てたり
といった対抗手段があるが、売渡請求が行われたら、
それを無視して株式を保有し続けるということは基本的にはできない。
https://shiodome.co.jp/js/blog/501
2017年最高裁で争われた売渡価格決定申し立ての事例で、
売渡請求の価格設定は
公開買い付け後であれば公開買い付け時と同じ値段
というのが「実務上一般的」と書かれている。
「実務上一般的」って具体的にはどういう意味やろな?
「前例がほぼそれしかないからその価格設定ならほぼ確実に通ることがわかってるし、
わし自身もそれで妥当だと思ってるよ」
って意味?
ともあれ公開買い付け者が株式等売渡請求も視野に入れている場合、
公開買い付けを蹴ったとしても
最終的には公開買い付けと同じ値段で買い上げてもらえると思って良さそうだ。
しかしこの文書によると、
裁判所が公開買い付けよりも高値をつけることを期待して
価格決定を申し立てる人がちらほらあったのだな。
もしそれが通るなら
公開買い付けを敢えてスルー後に申し立て
っていうフェイズが常態化しておかしなことになると思うんだが、
申し立てた人はアホなのかな?
アホっていうほうがアホなのかな??
申し立てが通るか通らないか、つまり売渡請求の価格が妥当かどうかは、
TOB価格と比べて安いかどうかを基準に考えれば良いということですね。
東京ドームの件でも、三井不動産が9割以上の株式を取得した場合は
公開買い付けと同額で株式等売渡請求を行う旨が書かれている。
で、個人投資家となったらこれはする側でなくされる側なんだが、
煩雑な手続きが必要なのは請求する側のほうだというのもあって
(あと、何も上場してる株式に限った話ではないってのもあって)、※1
請求された側の手続きについてはなかなかどこにも書かれてないなあ?
と思ってたら、
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14230742984
知恵袋にこんな質問が。
持ってた株が知らない間にTOBされてて
さらに知らない間に売渡請求までされてた人からしてみると
「元本もろとも消えてしまった」ように見えるのだな。
そして、そのうちに代金が振り込まれてくる、と。
ということは、請求された側は何の手続きも必要ないということか。
これでは調べてもどこにも書かれてないわけだ。
では、TOBを募集したものの特別支配株主になれなかったら?
そのケースを次で見ていこう。
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参考URL:
https://shiodome.co.jp/js/blog/501
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14230742984
http://tajima-law.jp/column/column_post.php?id=5987556b435948dcb6
https://kigyobengo.com/media/useful/191.html
https://business.best-legal.jp/1166/
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よりみち
※1
例えば
意見の対立している少数株主が居て株主総会を開くたびに揉めてしまい
経営方針について何も決まっていかない、といった問題を抱えているとき。
特別支配株主になることができれば、少数株主に売渡請求をして
株主を一人きりにしてしまうことで、
・会社の意思決定を迅速に行えるようになる
・面倒な株主総会を合法的にパスする(一人だけなので)
といったメリットがある。
これは上場に関わらずすべての株式会社に言えること。
金で解決のターン!!
ちなみに「金で解決のターン」にも
「キャッシュアウト」っていう、ちゃんと正式な場で使える呼び名がついてた。
http://tajima-law.jp/column/column_post.php?id=5987556b435948dcb6
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